「俺達の作戦後報告を聞きたいって?まあ、精々頑張れよ。俺達はまだ、3月6日に一体何が起きたのか分からないんだ。世界終焉シナリオを止めたのは分かってる。どうやって、そしてなぜ、となると……考えても頭が痛むだけなんだ」
「あのクソ家……亀裂……世界の下……白い太陽……畜生、あの聖歌がまだ頭の中で聞こえる。『太陽は存在する、第二の太陽が……』。『ユー・アー・マイ・サンシャイン』の曲調でな。白い太陽が曇り空の下でお前をどうやって幸せにするのかは聞かないでくれ。ハッハッハ」
「いや、酔ってなんかない。俺の言葉は支離滅裂だろうが、それは酔っているからじゃない。外で他のチームメンバーと話したとしても、皆こんな感じだろうよ」
「俺達は、一連の巨大なCK-クラス現実シフトの爆心地にいた。今、お前自身がそれをやってみて、それで戻ってきて、俺にどう振る舞うべきか教えてくれよ。忌々しい作戦後報告を聞きたいんだろう?」
[[「全ての始まりは人狼からだった」->One]]
「ああ、その通り。人狼だ。お前のようなクソに誰も何も説明してやらなかったのか?でも人狼なんて重要じゃない。俺は――」
「分かった。あのクソ人狼共について説明しよう」
「あの家にお前らがどんな番号を与えようと勝手だが、これはそこで実際にイベントが起こるだいたい1ヶ月前のことだ。白い太陽について最初に耳にしたのがこの時だった」
「シグマ-3の協力者の一人が接触してきた。彼女は『手』の構成員の一人だが、実績もあるし、とても有能で、これまでにも俺達を何回か窮地から救っていた。実際のところ俺達を他の『手』から隠していたんだ。彼女はまさに進行中の何らかの大きな儀式について伝え聞いたのだと言い、あのクソ家、追憶の家、何と呼ぼうと勝手だがその位置を教えた。彼女は、俺達はこれを出来る限り深刻に受け取る必要があるとか、最優先課題だとか、世界の命運だとか、何とかかんとかごちゃごちゃと言っていた」
「だが、彼女は俺達がいきなりそこに突っ込むことはできないと言った。彼女は俺達を、彼女の言葉を借りるなら『地域の専門家』と接触させた。ブルックナー一家だ。俺達が送り出されたのは、テボル山と呼ばれるひどい辺境のど田舎だった」
「標準手続通りに、俺達はそこへ行く前に地域全体を調査した。俺達は会うことになっていた場所を見つけた――山頂の忌々しい丸太小屋だ。嘘じゃない。それで、そこには誰もいなかった。まるで、最近急いで放棄されたかのように」
「その場所を数時間眺めて……それで、夜明けの数時間前にブルックナー一家が帰ってきた」
「最初、あいつらが何なのか理解できなかった。その外見が狼とゴリラの冒涜的な合いの子みたいだったからだ。夜明けが訪れるとあいつらは毛皮を脱ぎ捨て、捻じくれ、変形し、ぞっとする声で叫びながら人間に戻った。それでやっと、あいつらがその人物だと気付いた」
「つまり、協力者はどういうわけか、俺達が[[不快な人狼共->Two]]を相手にすることになるというのを伝え忘れていたんだ」
「人間に戻った人狼共はその場所を掃除し始めて、俺達はあいつらが出迎えの準備をしていることに気付いた。副隊長は罠だと言ったが、2人の顧問はそうじゃないと言った。シグマ-3はあらゆることに対処する。そうだろう?俺達は人狼に対処したことは無かったし、俺は人狼なんてものが*いる*ことすら知らなかったが、何事にも最初というものがあるものだ」
「だが、副隊長はブチ切れた。彼は人狼について聞いたことがあって、攻撃部隊を呼んであの人喰いの畜生共を根絶すると主張したんだ」
「だから、俺達は計画に従うか、全てを断念してテボル山に鉄槌を下すか決めなければならなかった。どちらにせよリスクがあることは明らかだった」
「俺の次の選択は理想的なものじゃなかった。振り返ってみると、それすらも忌々しい白い太陽の作用だったんじゃないかと思う……」
[[「俺は副隊長に従い、鉄槌を下すことにした」->TwoB]]
「彼らの話を聞き入れないのなら顧問なんている意味がないだろう?」
「俺は副隊長に、とにかく落ち着くようにと諭した。忌々しい攻撃部隊を呼べばシグマ-3が築き上げてきた全てが破壊されてしまうと指摘したんだ。協力者は俺達がここにいることを知っている。彼は一体何を考えていたんだ?」
「俺達は動き出し、何もおかしなことなどなかったかのように、約束の時間ちょうどにエージェント達を引き連れて行った」
「……ああ。これが仮報告書の内容と合わないのは分かってる。こういうことに慣れてもらえると嬉しい」
「ある瞬間にはある話を思い出すんだが、次の瞬間には別の話を思い出すんだ。まだ納得できないか?今回みたいなCK-イベントは関係者全てに過去改変作用をもたらす。そして、俺達はとんでもなく深く巻き込まれてたんだ」
「現時点では奇妙な話だと思うかもしれないが、話が核心に近づくまで待ってくれ。大いなる儀式の日だ」
[[「ともかく、俺達は人狼共と会ったのさ……」->Three]]
「それで、俺達は当然のごとくそこから急いで逃げ出し、彼の言うようにあの人喰いの畜生共を根絶する攻撃部隊を呼んだ」
「俺達は朝焼けに燃えるテボル山を後にして、逃げ回る狼共をヘリで空の高みから射殺した。彼らにチャンスは与えられなかったし、フェアな戦いなんて呼べるようなもんじゃなかった」
「これはかなり重大な結果をもたらした。シグマ-3が築き上げた全てを台無しにするにはたった一人が一つ間違った決断をするだけで十分だし、その決断をしてしまったそいつは俺なんだと思う」
「すぐに俺達に協力する者はいなくなった。『図書館』に割り当てられた俺達のエージェントは消失するか、アクセス許可を取り消されて排除されたことが分かった。もう協力者から追憶の家に関する情報が得られることはなかった」
「それで数週間後に白い太陽が目覚めて、浄化の炎を……」
「待て、分からなくなってきた。これは正しくない」
「いや……ああ、お前は正しい。これは本当に起こったことじゃない。そんなこと明らかだろう?俺はただ……これは現実シフトによる偽の記憶の一つだ。これが起こってから数日間かけて湧いてきているんだ。畜生」
[[「もう一度始めよう……」->Two-2]]
「その対応はかなりぎこちないものだったが、彼女らは驚くほど親切だった。彼女らは人狼であることを隠そうとしているようだったが、夕食を食べながら会話をしてる時に誰かがボロを出した」
「どうやら、人狼という存在自体が何らかの深遠な魔術的実験の産物のようなんだ。両親の一人、おそらくブルックナー*教授*は、ええと、魔術学界を引退した大物で、それが問題であるようだった」
「そして、俺は魔術学界というやつは現実の……ええと、非異常世界のものよりかなりエキサイティングだと思った。つまり、彼女の理論がかなり物議を醸したからと言って、誰かが彼女と家族全員を魔術的に殺そうとしたんだ」
「魔術的暗殺の試みはどうやら効かなかったようだが、代わりに彼女らを人狼に変えた。彼女と、彼女の妻と、7人の子供達を。ああ、7人だ。長い話だ。彼女とその妻はこのことに関して苦悩したが、子供達はこれを文字通り、自分達に起こり得ることの中で最高のことだと考えているようだった」
「この丸太小屋は彼女らが毎月やって来る素朴な別荘で、子供達を走り回らせたり、ええと、人狼化させたりとかして楽しませる場所でもあった」
「畜生、『手』の奇人共め」
「ともかく、彼女らは愛想良い主人だった」
[[「一方、俺達は不当に失礼な態度を取った」->FourA]]
[[「俺達は彼女らと同じように、丁寧な態度を崩さなかった」->FourB]]
「俺のこの記憶が間違いで、ただの現実シフトの産物であることを願う。俺は副隊長が教授の妻をもう少しで殴りつけるところだったことを覚えている。彼はその夜を通して、彼女らに敵意を剥き出しにした眼差しを送り続けていた」
「いや、レズビアンだってことじゃなく、人狼だってことに怒ってたんだと思う。副隊長自身も『手』の脱退者だから、変身魔術を弄る奴らと何か問題を起こしたことがあったんだと思う。多分彼は彼女らの話を額面通りに受け取っていなかったんだろう。俺には分からない」
「ともかく彼女らは俺達を助けてくれた。[[白い太陽->Five]]について情報を得られたのもそのお陰だ」
「副隊長が時折彼女らを睨むのを除けば、夕食はスムーズに進んだ。ああ、彼は……彼は『手』の脱退者だ。ええと、変身魔術を弄る奴らと何か問題を起こしたことがあったんだと思う。多分彼は『魔術的暗殺の失敗』という話を額面通りに受け取っておらず、彼女らが自ら人狼になったと考えていたんだろう」
「だが、彼はしばらくして最終的には落ち着いた。俺が言ったように彼女らは愛想良い主人だったから、それは難しいことじゃなかった。たとえ人狼*だった*としても、親切にしてくれるなら親切な奴だってことだ」
「夕食の後、ブルックナー教授は[[白い太陽->Five]]について話し始めた」
「それで……教授は見たところ数年前から追憶の家について調べていたようだった。彼女は殺人カルトの問題や、町の中で何が予期されるかに関して警告した――少なくとも部外者の一人という視点では、俺達にはいずれにせよダニエル・ソーヤーのような内部情報源がいたから大丈夫だった――それはともかく、彼女は白い太陽に関することも教えてくれた」
「地球は空洞である、という考え方だ。数人は、ええと、数世紀にわたって確立された科学を持ち出してこれに反論した。だが教授は『魔術的に』空洞という意味なのだと答えた。俺は、まあ、そう言うならそうなんだろうと思った」
「追憶の家は夢、つまり現実の下に広がる現実を封印するものなのだという。存在せず、どうやら俺達が知るはずのなさそうなSCPオブジェクトに言及していた。そして、その下に広がる洞窟を角の門と呼び、それは地球内部の空洞……少なくともその夢に至る太古の道なのだという」
「誰かが、そこには恐竜がいるのかどうか聞いていたな。彼女は笑って、そうは思わないと否定した。それを聞いたやつは実にがっかりしたように見えた」
[[「ともかく……」->Six]]
「……その場所の存在理由はただ一つ、白い太陽のためなのだそうだ」
「俺は、俺達の太陽の方も白いのに、どうしてそれを白い太陽なんて呼ぶのか聞いた。彼女は分からないと言った。ただ不気味な古文書か何かにそう書かれていただけらしい。その意訳だそうだ」
「白い太陽はどうやら、ラヴクラフトの夢の外のどこかに存在する『外なる暗黒』から来た何らかの超自然的実体だ。それは数百万年前に俺達の太陽から現れて隕石のように落下し、地殻を貫いて地球の内側に王国を作った。俺の考えだが、それは地球を永遠に支配したかったんだと思う」
「だがここで、誰も知らない理由によって白い太陽は眠りに就いた。それは現在まで、地下で目覚めの日を待ち続けている。地球を焼け付くような火で浄化するその日を……」
「すまん。これに関しては考えたくない。記憶が多すぎる。そして、ああ。それが事実じゃないことも分かってる」
「彼女らは放浪者カインが何かをしたと考えていた。ああ、SCP-073だ。俺は別に真剣に受け取りはしなかった。『手』の野郎共の中にはあのクソの崇拝者だと思われる奴らがいる。あいつはもう何十年も俺達の施設の中に座ってるっていうのに、奴らの中の彼は未だにあらゆる未知なる土地で暴れ、あらゆる英雄的行為や邪悪な行為を働いているらしい」
[[「とにかく俺には関係ない」->Seven]]
「追憶の家の中で行われている儀式は、封印を破り、角の門を開き、白い太陽を呼び起こす試みなのだそうだ」
「これは……これは良くないことだ。世界が終わるのは良くない」
「俺達はしばらくそこに座り、それに関して話をした。儀式が実際に行われるまでにはまだ何週間かあるが、奴らは既に人々を生贄に捧げ、でかいことを起こすための燃料を蓄えているそうだ。彼女は一刻も早く行動を起こすべきだと勧めた」
「奴らは魔術的防御を展開していて、他の『手』がこれに関して何かをしたり、これについて知ることすら妨げている。俺達が呼ばれたのはどうやらそういうわけらしい」
「それで、XK-クラス世界終焉シナリオが進行中の可能性を報告した後で、副隊長をその場に残して――悪気があったわけじゃない――俺はチームを引き連れてこの追憶の家とやらに向かった」
「俺達は、その場に行ってよく調べれば、後は本当の部隊が来て全て一掃してくれるだろうと思っていた」
[[「だが、そうはならなかった」->Eight]]
「町に入ったのはほんの数日後だ。着いてから1時間と経たず、追憶の家すら見つけていないうちに……何かのホラー映画みたいに、外部との通信は全て途絶えた」
「そして、俺達はそこを離れることができなかった。障害物が置かれていたとかそういうことじゃなく、心の中の何かの作用だった。それは俺達を完全に支配するほど強いものじゃなかったが、ここを離れるために何かをすることを妨げていた」
「人狼教授、彼女は正しかった。奴らはまだ儀式の準備を完了していなかったが、干渉を恐れた誰かが、全てが終わるまで町全体を封鎖することにしたんだろう。賢いやり方だと思う。奴らがもう少し早く進めていれば、今頃俺達は白い太陽を見上げていたことだろう。永遠の川と炎の向こうに……畜生、話を戻そう」
「すまん」
「……」
「奴らは歌っていた。その歌声が聞こえた。ほとんどの単語は理解できなかったが、聖歌は覚えている。『太陽は存在する、第二の太陽が……』 それは日が沈むときに道を照らし、うーん、うーん……我らは夢の中の虫けら、隠れ場所はもはやなく逃れられぬ……名も無き者は煙と暗黒の中を這いずり来りて、花は我らを救うことなく、白き太陽は浄化の炎の中に目覚め、我らの魂を救い夜明けを……」
「……」
「……」
「……」
「……何てこった。思ってたよりはるかに長く覚えてた……何かクソなミームが含まれてるんじゃないかと思う。お前が完全にミーム接種を受けてることを願う。神よ救い給え」
「だけど、自分自身が大丈夫だなんてどうしたら*分かる*んだろうな?ああ、忘れてくれ、畜生。それは俺達の上司に任せておこう」
「ともかく、聖歌は町全体で聞こえたが、それはただ白い太陽の信者が歌っていただけだった。他の人々に関しては、ええと……」
[[「特に何事もなく、静かすぎるほどだった」->NineA]]
[[「町は松明と熊手を掲げた群衆で溢れかえった」->NineB]]
「俺達はほぼゴーストタウンのような町中を用心深く進んだ。人々は所構わず眠りに落ちていた。自動車事故も数件起きていたが、お前が想像しているほど多くはなかっただろうな」
「彼らは眠っているように見えたが、よく見るとその息遣いの下でクソ聖歌を呟いていた……」
「誰かが俺達のタイプ・ブルーのエージェント、ジャン・エクアに彼らを助けるよう言った。だが、俺はそれを許さなかった。氏はチーム唯一のタイプ・ブルーで、俺達がここで立ち往生したとしたら儀式全てを氏の力だけで阻止しなければならない可能性があった。俺達は名も知らぬ民間人に力を費やすことを許さなかった」
「俺達は彼らを無視しようと努めながら、与えられた地図を辿って空っぽの通りを慌てずに一丸となって進んだ。言っておくが、簡単なことじゃなかった」
「エージェント・エクアが、この地域で一連の巨大なCK-クラス現実シフトの発生を検出したと伝えてきたのもこの時だった。自分自身では確認できなかったが、この現実は既に気付くことも思い出すこともできないような形で数分ごとにシフトしているそうだ。矛盾する記憶が脳内に湧き上がってくることに気付いたのもこの時だ。時が経てば経つほどその数は増大していった」
「氏は、信者共が忌々しい白い太陽の儀式のための『理想的な条件』を作り出そうと、現実の再編を試みていると推測した。これは……壮大な話だと思った。現実自体ですらもうあてにならないとは、何と素晴らしいことだろうか」
「数時間歩いて、[[俺達はとうとう追憶の家に辿り着いた」->Ten]]
「最初、俺達は町中に誰も見なかった。だが誰かが信者共に告げ口したと見えて……俺達の後ろには松明と熊手を掲げた町民が着いてきた」
「ああ、比喩じゃなく文字通りの松明と熊手だ。とても古風なものだった。恐怖を肌で感じていなければ滑稽な光景に見えたことだろう。俺達は武装していたが、シグマ-3は忌々しい戦闘部隊じゃない――加えて、信者共のために弾を温存する必要もあった」
「俺達にはタイプ・ブルーのエージェント、ジャン・エクアがいたが、氏はこれまでに3回しか戦闘任務に参加したことがなかったし……その力を儀式の阻止に使う必要がある場合に備えて、俺達は名も知らぬ民間人に力を費やすことを許さなかった」
「ああ、畜生、町民共は。彼らは眠りながら、夢遊病者のように歩きまわっているように見えた。だが、よく見るか、一人を取り押さえてみたならば――彼らは苦闘しているわけではなく、ただ道端で前進を続けるか、俺達が捕獲しようとした時に反撃を試みるだけだった――彼らは目を閉じていたが、その息遣いの下でとても静かにクソ聖歌を呟いていた……」
「俺達はほぼ一時間、彼らを回避しようと動きまわった。全く地獄のような時間だった。彼らが松明で町全体を焼き尽くさなかったのは奇跡に近い。だが少し経つと彼らの動きは徐々に遅くなり、最終的に半分灰と化した松明が燃え尽き始めると、彼らは倒れてその場で眠る、それか眠りのような状態に陥った。とにかく彼らは動きを止めたんだ」
「そして、彼らはその間中クソ聖歌を呟き続けていた……」
「俺達は一息つくと、無駄にした時間を取り戻そうと地図に従って荒れ果てた町を進んで行った」
「エージェント・エクアが、この地域で一連の巨大なCK-クラス現実シフトの発生を検出したと伝えてきたのもこの時だった。自分自身では確認できなかったが、この現実は既に気付くことも思い出すこともできないような形で数分ごとにシフトしているそうだ。矛盾する記憶が脳内に湧き上がってくることに気付いたのもこの時だ。時が経てば経つほどその数は増大していった」
「氏は、信者共が忌々しい白い太陽の儀式のための『理想的な条件』を作り出そうと、現実の再編を試みていると推測した。これは……壮大な話だと思った。現実自体ですらもうあてにならないとは、何と素晴らしいことだろうか」
[[「最終的に、俺達は追憶の家に辿り着いた」->Ten]]
「その家は……驚くほどよく手入れされていた。協力者はこの家を『お化け屋敷』と呼んでいたが、そのような雰囲気を醸し出していたのは一部だけだった。ああ、確かに家は大きなビクトリア様式の邸宅だった。だが芝生は刈られ、生け垣は手入れが行き届き、ペンキはかなり新しく見えた」
「この町を抜けるという経験の後で俺達が想像していたのは……破滅のオーラとか、不気味な風とか、少なくとも陥没した屋根とかそういうのだった」
「だが、そういうのは何もなかった。白い太陽教の印すら何もなく、今では少々の背景ノイズとなっていたクソ聖歌より大きな音がすることもなかった。背後の山には人跡未踏のような森が広がっていたが、それはただの家だった。素敵な家だった」
「多分、それが俺達の次の行動の理由だ」
[[「俺達は何気なく正面玄関から入っていった」->ElevenA]]
[[「俺達は合理的に可能な限り調べることにした」->ElevenB]]
「俺達の内通者は、家はここ数日で大量の生贄に満足しただろうから、中でそれほどの問題に遭遇することはないだろうと言っていた。彼らは間違っていた」
「正面玄関を入るやいなや、廊下は姿を変えた。それは……俺達が見たものを言い表すのは難しい。悪夢の牙とその下に口を開けた胃袋。周囲で波打つあらゆる物体、暗闇と湿気、大気が孕む奇妙な熱望、柔らかな舌となった絨毯、そして遠くからの轟音――」
「だが、少なくとも多少の心構えはできていた。既に抜いていた銃を構え、俺達はこの夜の初弾を家の喉へと真っ直ぐに撃ち込んだ」
「そして驚いたことに、それはうまくいった。視界はほとんど即座に晴れ、俺達は家の正面玄関に立っていた。向こう側にある階段を貫いた弾痕を除いて、家は邸宅として完全に正常なものに見えた」
「正直に言って、この後に起きたことはほとんど記憶に無い。俺達は家の地下に下りて行く必要があった。そこには洞窟が広がり、今では信者共が閉じ籠って儀式を準備しているはずだ。家の作りからして、地下へ行くには3つのルートがあった」
「考えてみよう……そうだ」
[[「俺達は左に折れた。そちらが安全だと思ったからだ……」->TwelveA]]
[[「俺達は右に折れた。誰かの叫び声を聞いたからだ……」->TwelveB]]
[[「俺達は家を真っ直ぐに通り抜けた……」->TwelveC]]
「ジョンソンが先頭にいて、*何か*が彼に襲いかかり、銃を叩き落としてあの忌々しい戸棚の中に一緒に倒れこんだのを覚えている。その何かを蜂の巣にした後で、俺達はジョンソンを殺してしまったかもしれないことに気付いた。だが戸棚の中には何もなかった。ジョンソンは完全に消滅していた」
「戻ろうとしたが、もう遅すぎた。ぞっとするような詳細は省くが、家は俺達を分断していった。アダムス。マッキンリー。ケイン。そして……これ以上言うつもりはない」
「家の中を前進し続ける間、彼らの悲鳴が聞こえ続けた。だが、それに対してしてやれることは何もなかった……止まらずに前進を続け、自分自身が捕まらないようにすること以外には」
「彼らはまだそこにいるのかもしれない。または、プサイ-7が全てを吹き飛ばすまではそこにいたのか……」
[[「地下に着いた時、俺達は半数しか残っていなかった」->Thirteen]]
「分かってる、分かってる。隊長は叫び声の方に進んだ、それでどんな悪いことが起こる?だが俺達は……この時点で少し重圧を感じていた」
「悪い選択だった。俺達はどういうわけか、俺達の間取り図に書かれていない場所に来てしまった。周囲は叫び声に包まれていた。壁には身体の一部がくっついていた――ここには腕が、そこには足が、半分の顔面が、なすすべもなく暴れていた。俺達は突き出した頭に弾丸を撃ち込んだが、何の意味も無いようだった――ただ風穴が開いただけで、彼らはそれでも生きていた」
「そして、家は静かに俺達を取り込み始めた。俺達は最初それに気付きさえしなかった。ジョンソンが最初だった。次にアダムス、マッキンリー。俺達はケインが取り込まれた時に初めて気付いた――彼の腕が壁を擦った瞬間、彼はただ……俺達を見つめたまま固まって、壁に静かに沈んでいった」
「その後で俺達は慌てだしたが、それは何の役にも立たなかった。一人ずつ、ゆっくりと、家は俺達を取り込み続けた……しばらくして、彼らの声が叫び声の合唱に加わったのを聞いた」
「俺はプサイ-7がクソ家を丸ごと吹き飛ばしたと聞くまで心が休まることがなかった。そうでなければ……彼らはまだ叫び続けていたかもしれない」
[[「地下に着いた時、俺達は半数しか残っていなかった」->Thirteen]]
「俺達はそれが最短経路だと考え、家を真っ直ぐに通り抜けた。それは間取り図に従ったものでもあった」
「次に起こったことは……分からない。言葉にすることもできない。これは慈悲なのかもしれないが、俺達の誰も何も覚えていない。俺に分かるのは、そこを通過する間に家が俺達の半数を奪い去ったということだけで……何がそれをしたのかは分からない。ぼんやりしながら進んでいたんだろうか?」
「はっきりしない意識の中で、ジョンソンが消えたことを覚えている。そしてアダムス、マッキンリー。ケインが消えた時に頬を涙が伝った……だが俺がどうしたかは覚えていない。多分何もしなかったんだろう。俺は……俺には分からない……畜生」
「俺は……ビジョンを覚えている。説明することのできない何かの。いや、説明する気はない。あれについてもう一度考えることはしたくない……」
「気付くと家の反対側にいて、俺達の半数が消えていた。そして彼らの叫びが聞こえた。どこか近くにいるようでも、どこにいるか伝えるには離れすぎているように籠っていて……」
「もしプサイ-7が家全体を吹き飛ばしていなかったとしたら……駄目だ。駄目だ。そのことは考えたくない」
「俺達は進み続けた。他に何ができただろう?」
[[「戦力の半分を失って、俺達は地下に辿り着いた」->Thirteen]]
「そこには洞窟があり、信者共で満たされていた。知っての通り、奴らは本当にカルト信者のような格好だった。白いローブを着て、聖歌を唱えて。フードを被っていないことを除いては、クー・クラックス・クランのクソむかつくパロディみたいだった。奴らは全員が光り輝く太陽の紋章を身に着けていた。多分魔術的な何かだと思う」
「指導者は、金属でできた白い大きな太陽の仮面を被っていた。他の状況なら愉快に見えたことだろう。だが俺達は……ああ」
「洞窟の後方には大きな黄色い潜水艇のようなものが幾つかあった。そしてその向こうには巨大な、本当に巨大な穴が地面に口を開けていた。対岸も見えないほどに巨大だった。指導者は潜水艇の1つの上に立っていた」
「その瞬間、俺達は何も意に介することはなかった。信者共が何かする前に、俺達はとにかく発砲を始めた。誰も指示は出さなかったし、その必要もなかった」
「そして、奴らがどのような魔術的防御を展開していたとしても、それは銃弾にまで及ぶことはなかった。あのクソ野郎共を殺したのを恥じてはいない。あの叫び……俺達はまだ背後に、家に捕まった仲間の叫びを聞いていた。奴らの悲鳴?まるで音楽のようだった。平和主義者であるエージェント・エクアでさえ、俺にはなんだか分からないブルーの呪文を投げつけていた。氏は泣いていた。俺達みんなが泣いていたと思う、畜生」
「俺達は全員を倒すことはできなかった。指導者と数名の信者は何とか潜水艇の扉を閉じた。弾丸はそれに突き刺さったが、十分な被害は与えられなかった。その小さなブースターが点火し……それはただ巨大な縦穴の中に落ちて消えた」
[[[「そして、それは終わった」->Fourteen]]]
「俺達はエージェント・エクアが状況を評価するのを待った。俺に言えることは、家が氏を捕まえなかったことを神に感謝すべきだということと、俺達が何をしたのか俺には分からないということだ。氏の名誉のために言っておくが、氏は静穏の化身のように落ち着いていた。氏がひどく取り乱していたなんてお前が推測しないようにな」
「ともかく、俺達が待っている間に氏は少々の複雑な魔術的儀式を行った。信者共の死体は邪魔にならないよう移動したが、投げ捨てたりしないように気持ちを抑える必要があった。もうあの悲鳴は聞こえなかったが、誰も歌っていなかったにもかかわらず聖歌は俺達の頭の中で流れ続けていた。太陽は存在する、第二の太陽が……途切れることなく。エージェント・エクアは、これは儀式が未だ進行している印だと言った」
「ここの地下は寒かった。とても寒かった」
「しばらくして、氏は2つの選択肢があると結論を出した」
「その1、エージェント・エクアは角の門――俺には門のようには見えなかったが、地面の大穴がそれのことらしい――を封印する儀式を行う。これによって進行中の儀式は停止するので、通信を回復して外部の助けを呼び、頭上のクソ家を破壊することができる」
「欠点: 俺達は信者共がどこへ行ったのか、白い太陽とは何なのか、将来にどのような危険が残るのかが分からない。門を閉じれば、奴らはおそらく戻っては来ないだろう。奴らは下で飢え死にするかもしれない。うまくいけば。だが……そうでないかもしれない。俺達はただ……それを知ることができない」
「その2、エージェント・エクアが儀式を止める準備をする間……俺達の1-2人があのクソ不気味な潜水艇の一つに乗り――氏はそれが完全に安全か、少なくとも十分に安全だと請け合った――白い太陽の下衆どもを追って穴に下りる。角の門を通って。そしてエージェント・エクアに見たものを伝え、氏はその場でそれに対処する」
「欠点: 下に行った奴が戻ってくるか、戻ってこないと分かるまで俺達はここを動けないし、支援を呼ぶこともできない。その間に儀式が完成してしまうかもしれないが、俺達にはそれを知るすべがない。俺達の情報源は儀式には数週間かかると言っていたが、彼らの情報は既に他の点に関して間違っている部分があった。この点に関しても間違っていたとしたら、俺達はXK-クラスシナリオのど真ん中に叩き込まれることになる」
「そして、俺達はそこで立ち往生するかもしれない。永遠に」
「俺達はしばらく相談し……」
[[「門を即座に閉じることにした」->EndOne]]
[[「信者共を追って縦穴に下りることにした」->Fifteen]]
「俺達はもう危険を冒さないことにした。俺達の多くがとても恐ろしい死を迎えたからというわけじゃない。俺はエージェント・エクアにできる限り早く進めるよう言った」
「エージェント・エクアはその奇妙な呪文を唱え始め、俺達に直視しないように言った。瞼の裏に緑の閃光が見えて……」
「ええと、ここでまた俺は次に起きたことが思い出せなくなる。いや、そういうわけでもないが、脳内で地震が起きたような感覚だ」
「そして、俺達が見たものは……」
「……ええと、俺は何を見たのか分からない。だがそれは俺達を完全にぶち壊した。次に思い出せるのは、エージェント・エクアが俺の横の床に気絶して倒れていて、プサイ-7はもう追憶の家を破壊した後で、エージェント達が俺達を助け起こして一体何があったのか聞いてきているところだ」
「以上だ。だが、実は、もう少し記憶が……ええと。これに完全に当てはまらない記憶が……あるだろう?いや、お前には分からないとは思うが」
「俺はその下に行ったことはない。覚えてはいないけれども。だが神に誓って、俺は頭の中に白い太陽を見ている。それは俺を背後から見てるんだと思う」
「だがそれに関しては忘れてくれ。これでもう終わりか?なぜならお前に言ったように、俺は酔ってないし、本当に、真剣に終わりにしたいと思ってるからだ。もっと質問があるなら俺の魅力的な助手に頼む」
「ええと、そうか。実のところ、魅力的な助手っての*は*俺の2本の中指だ。お前はとても察しが早いからな。分かるだろう?」
「ああ、クソ野郎め」
**[報告終了]**
[[...->...]]
[[最初に戻る->Begin]]
[[報告書の現在位置に戻る->Seven]]
(link:"SCPデータベースエントリに戻る")[(gotoURL:"http://ja.scp-wiki.net/scp-2975")]
「ええと、俺は他の誰かにこのリスクを負わせるつもりはなかった。だから自分自身が行くと志願した」
「俺は、銃撃戦による被害が最も少ない忌々しい潜水艇に乗り込んだ。エージェント・エクアの魔術的手相占い機みたいな何かの助けを借りて、このクソの動かし方を理解するのに丸々30分を要した。手短に言えば、俺は明らかに底なしの亀裂にそれ――と俺自身――を投げ込むのに十分な高さだけ、何とかしてそれを浮かせることができた」
「正直に言えば、俺は自分がここの下で死ぬだろうと思っていた。単に……永遠に落ち続けて、地球の核に激突して燃え尽きて。俺自身がこのことをどう感じたかは思い出せない。もう気にしてなかったのかもしれない」
「しばらくして、起こるだろうと思っていたようなことが始まった。周囲は熱くなり続けて、俺は落ち続けた。……喉が渇いてきたのを覚えている。地獄のように。俺はどうにか持ってきた水筒を飲み干したが、到底十分とは言えなかった」
「それで、辺りは強烈な白い光に包まれて……」
[[「俺はどこか別の場所にいた」->Sixteen]]
「縦穴が急激に広がり、俺は自分の目で見たものが信じられなかった」
「眼下には広大な大地が広がっていた。遥か下には巨大な山、密林、そして……奇妙なピンク色の平原。光り輝く石炭鉱床。見る者を傷つけるようなダイヤモンドの野原。雲かどうか分からない何かを通り抜けて眼下を飛ぶ巨大な鳥……全てが鉄でできた都市。それらを遥か高みから見下ろす、俺に対する象の大きさよりも50倍は大きいに違いない巨大な狼のような生き物」
「夢を見ているのかと思った。本当にそうだったのかもしれない」
「眼下の最も高い山の山頂に……砕け散った黄色い金属の塊があった。白い太陽教の指導者の潜水艇だ。結局、銃弾はその役目を果たしたんだと思った。または、奴は下にいる何かに捕まったのか……または、奴はまだ下で何事もなく生きていて、この非現実的地下世界で神のみぞ知る何かをやっているのかもしれない」
「そして、その全ての上に浮かんでいたのが……白い太陽だ」
「最初は目を向けることもできなかった。だが一旦それを見ると、今度は目を逸らすことができなくなった。あれは完全な球体で……磨かれた大理石か何かのようだった」
「俺はすぐに、それがまだ眠りに就いていることを完全に確信した。だが同時に、いつか目覚めるだろうということも完全に確信した」
「または、目覚めるのは俺達の方なのかもしれない」
[[「俺は潜水艇を白い太陽に向けた……」->EndTwo]]
[[「俺は潜水艇を反対に向け、入ってきた出口を探そうとした……」->EndThree]]
[[「俺は潜水艇を着陸させることにした……」->EndFourA]]
「一体どんな衝動に支配されたのか分からないが、俺はそういう行動を取った」
「俺は目の前にある磨かれた無限の目、白い太陽の心臓部に向けて飛んだ。覚えているのは……白い炎に燃える回廊。さらに、俺を呼ぶ外からの手……泣き声……」
「次に何が起こったのかは分からない。他の奴らも何も覚えていない。俺に分かるのは彼らが儀式を止めたということだけだ。縦穴はまるで初めから存在しなかったかのように消え失せた。プサイ-7が呼ばれ、忌々しい追憶の家は永遠に消滅した」
「だが神に誓って、俺は気にするのを止めることができない……分からない。俺は頭の中に見える白い太陽のことを考え続けている。それは俺を背後から見てるんだと思う」
「だがそれに関しては忘れてくれ。これでもう終わりか?なぜならお前に言ったように、俺は酔ってないし、本当に、真剣に終わりにしたいと思ってるからだ。もっと質問があるなら俺の魅力的な助手に頼む」
「ええと、そうか。実のところ、魅力的な助手っての*は*俺の2本の中指だ。お前はとても察しが早いからな。分かるだろう?」
「ああ、クソ野郎め」
**[報告終了]**
[[…->…2]]
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[[報告書の現在位置に戻る->Seven]]
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「俺は潜水艇を急激に、白い太陽とは逆方向に向けた。そうするだけの気力があったことを神に感謝する」
「そうすべきだという奇妙な衝動に従って進み続けたならば、何が起こっていたかは分からない。帰ってこれなかったかもしれないし――何か幸運が訪れたかもしれない。俺は今と同じようにお前の前に立っていたかもしれないが、ただそれは俺ではなく……」
「……ああ、すまん、畜生。ただ……長い夢だった。本当に奇妙な夢だった……受け入れるのは難しい。この全てを受け入れることは難しい。そうだろう?いや、お前には分からないとは思うが」
「次に何が起こったのかは分からない。俺に戻ってきた記憶はない。帰り道を見つけられなかったことは確かだが、ただ……そう、俺は他に何を見たのか確信を持てない。もし誓って言うとしたら……それは俺達の太陽とは異なっていた。白い太陽のようでもなかった。それ以外の何かだ。それは何か非常に重要なことを知っていたように感じるが、それを俺に伝えることはできなかった……この部分はかなり夢の中のようだった。文字通り全く現実じゃなかったのかもしれない。だが他の部分がそうだったとしても、この部分だけはそうは感じない」
「だが、どういうわけか俺は戻ってきた。他の奴らも何も覚えていない。俺に分かるのは、彼らが儀式を止めたということだけだ。縦穴はまるで初めから存在しなかったかのように消え失せた。プサイ-7が呼ばれ、忌々しい追憶の家は永遠に消滅した」
「神に誓って、俺は夢の中で、または白昼夢の中でさえも、頭の中に見える白い太陽のことを考え続けている。それは俺を背後から見てるんだと思う」
「だがそれに関しては忘れてくれ。これでもう終わりか?なぜならお前に言ったように、俺は酔ってないし、本当に、真剣に終わりにしたいと思ってるからだ。もっと質問があるなら俺の魅力的な助手に頼む」
「ええと、そうか。実のところ、魅力的な助手っての*は*俺の2本の中指だ。お前はとても察しが早いからな。分かるだろう?」
「ああ、クソ野郎め」
**[報告終了]**
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[[報告書の現在位置に戻る->Seven]]
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ああ。こんにちは。
君がやり遂げられたことをとても嬉しく思う。君を待っていた。遠い昔から待っていた……
道は閉じてしまった。だがそれは今だけだ。永遠ではない、久しくはない。
すぐに君たち皆が歓迎されるだろう。
君がすぐに行かなければならないことは分かっているが、このメッセージを君に送りたい。これだけは覚えていてくれ。
太陽は存在する、第二の太陽が……
お帰り。
分かった、分かった。まだだ、まだだ。
君には十分な勇気がなかった。飛び込まなかったんだ。
2つの太陽がある。そう、白と、黄色……燃え盛る2つの穴がある……
いつか、それは1つだけになるだろう。
いつか君が目覚めるとき、君たち皆が目覚めるとき。
その日まで、このメッセージは覚えておいて欲しい。
太陽は存在する、第二の太陽が……
ああ……駄目だ。君はやらなかった。君もそれを分かっていると思う……
あれほど近づいておきながら、君には思い切りがなかった……君はそれを理解していない。常にそうだった。
だが、君がそれを理解しなければならないことは分かっている。君はいつも、目覚めるより眠る方を好んでいた。
だが、君は思い出すだろう。
先に来た彼らも、後に来るであろう彼らも。君たちはいつも、最後にはそうするんだ。
君には対岸で会おう。
これを思い出せ。太陽は存在する、第二の太陽が……
「少し頭を整理する時間をくれ」
「……」
「……」
「そう……そうだ。さっきも言ったように、副隊長は人狼に立ち向かうことを主張し、攻撃部隊を呼んだ後で俺達は撤収すべきだと考えていた。畜生の人喰い共とか何とか言って」
「俺は、どちらにせよ明らかなリスクがあると思った。今後の作戦に支障を来すような事態は避けたかった。俺達の立場から見て、この人狼共は『保護』すべきものに含まれるのかどうかよく分からなかった。思い出してくれ。特定の怪物共に対して、俺達はそれを殺すことしか……ああ、それはもうやってみたな」
「言ってなかったかもしれないが、副隊長、彼は『手』を脱退した奴なんだ。彼はそういうことをやっても大丈夫だと考えていた。彼はチームメンバーの何人かも味方につけたが、顧問はそのようなリスクを取ることは支持しようとしなかった。単独で動いてシグマ-3の任務全体を台無しにするよりも、全てを放置しておいた方がましだ。そうじゃないか?」
「俺は放置したくはなかったが、そうすることも考慮する必要があった」
[[「俺は副隊長に従い、鉄槌を下すことにした」->TwoB-X]]
[[「俺はあの畜生の人狼共を放り出し、急いでそこを去ることにした」->TwoC]]
[[「俺は顧問の言い分を聞き入れ、人狼共と会うことにした」->TwoA]]
「この決定には誰も満足しなかった。顧問は、俺達が潜在的に価値のある情報源を逃したと主張した。だが現場での決定権はまだ俺の手にあり、司令部は俺の権限を無効にする選択はしなかった。俺は俺達だけで町へ行けると思い――黙れ。話の途中だぞ。他の報告と一致しなくても知ったことじゃないって言っただろうが。後で何とかするんだ。話が終わった後でな。最後まで話をさせてくれないか?」
「どうも」
「つまり、たとえ手に入るあらゆる情報が本当に必要となったとしても、ちょっとした偵察行の後で人狼共がいなくなっちまうことはないだろうと考えた」
「残念ながら、俺達はそこでちょっと憶測のままに動きすぎた。[[だが、その時の俺はそうしようと考えたんだ。」->EightTwo]]
「町に入ったのはほんの数日後だ。着いてから1時間と経たず、追憶の家すら見つけていないうちに……何かのホラー映画みたいに、外部との通信は全て途絶えた」
「そして、俺達はそこを離れることができなかった。障害物が置かれていたとかそういうことじゃなく、心の中の何かの作用だった。それは俺達を完全に支配するほど強いものじゃなかったが、ここを離れるために何かをすることを妨げていた」
「奴らはどうにかして俺達の到着を知ったんだと思う。現地の情報提供者が日和って裏切ったか、誰か他の人物に知れたか。それとも最悪のタイミングでの偶然か。いずれにせよ、奴らは町全体を封鎖することにしたんだろう。賢いやり方だと思う。奴らがもう少し早く進めていれば、今頃俺達は白い太陽を見上げていたことだろう。永遠の川と炎の向こうに……畜生、話を戻そう」
「すまん」
「……」
「奴らは歌っていた。その歌声が聞こえた。ほとんどの単語は理解できなかったが、聖歌は覚えている。『太陽は存在する、第二の太陽が……』 それは日が沈むときに道を照らし、うーん、うーん……我らは夢の中の虫けら、隠れ場所はもはやなく逃れられぬ……名も無き者は煙と暗黒の中を這いずり来りて、花は我らを救うことなく、白き太陽は浄化の炎の中に目覚め、我らの魂を救い夜明けを……」
「……」
「……」
「……」
「……何てこった。思ってたよりはるかに長く覚えてた……何かクソなミームが含まれてるんじゃないかと思う。お前が完全にミーム接種を受けてることを願う。神よ救い給え」
「だけど、自分自身が大丈夫だなんてどうしたら*分かる*んだろうな?ああ、忘れてくれ、畜生。それは俺達の上司に任せておこう」
「とにかく、俺達は白い太陽について何も知らなかった。そして、正直に言えば、俺はクソ聖歌を聞いた時にその無知に感謝した。その知識があったらどんな被害を受けていたのかは神のみぞ知る、だ……」
「……なぜそんな目で俺を見る?これの奇妙さが今までの話の比じゃないことは確かだが。いや、説明はしない。気にするのは止めだ。最後まで聞いてくれ」
「聖歌は町全体で聞こえたが、それはただ白い太陽の信者が歌っていただけだった。他の人々に関しては、ええと……」
[[「特に何事もなく、静かすぎるほどだった」->NineATwo]]
[[「町は松明と熊手を掲げた群衆で溢れかえった」->NineBTwo]]
「俺達はほぼゴーストタウンのような町中を用心深く進んだ。人々は所構わず眠りに落ちていた。自動車事故も数件起きていたが、お前が想像しているほど多くはなかっただろうな」
「彼らは眠っているように見えたが、よく見るとその息遣いの下でクソ聖歌を呟いていた……」
「ありがたいことに、俺達のタイプ・ブルーであるエージェント、ジャン・エクアは彼らを助けてやることができた。氏が何をしたのか完全には理解できていないが、氏はチョークで描いた円の中で30分ほど何かを唱え、目を閉じたまま立ち上がった。そして、氏はそこらの眠っている町民に触れて回った。その手が触れるやいなや彼らは本当の眠りに落ちた。不気味な聖歌を歌うことなく、ただ鼾をかきながら」
「氏は信者の聖歌を鎮めることができたのだとしても、もちろん奴らは遠く離れていた。俺達が奴らを追憶の家の外で見つけることはなかった」
「俺達は聖歌を無視しようと努めながら、与えられた地図を辿って空っぽの通りを慌てずに一丸となって進んだ。言っておくが、簡単なことじゃなかった」
「エージェント・エクアが、この地域で一連の巨大なCK-クラス現実シフトの発生を検出したと伝えてきたのもこの時だった。自分自身では確認できなかったが、この現実は既に気付くことも思い出すこともできないような形で数分ごとにシフトしているそうだ。矛盾する記憶が脳内に湧き上がってくることに気付いたのもこの時だ。時が経てば経つほどその数は増大していった」
「氏は、信者共が忌々しい白い太陽の儀式のための『理想的な条件』を作り出そうと、現実の再編を試みていると推測した。これは……壮大な話だと思った。現実自体ですらもうあてにならないとは、何と素晴らしいことだろうか」
「数時間歩いて、[[俺達はとうとう追憶の家に辿り着いた」->TenTwo]]
「最初、俺達は町中に誰も見なかった。だが幾許も進まないうちに、俺達の後ろには松明と熊手を掲げた町民が着いてきた。誰かが告げ口したに違いない」
「ああ、比喩じゃなく文字通りの松明と熊手だ。とても古風なものだった。恐怖を肌で感じていなければ滑稽な光景に見えたことだろう。俺達は武装していたが、シグマ-3は忌々しい戦闘部隊じゃない――加えて、信者共のために弾を温存する必要もあった」
「俺達にはタイプ・ブルーのエージェント、ジャン・エクアがいたが、氏はこれまでに3回しか戦闘任務に参加したことがなかったし……洗脳された可哀想な野郎共に直接攻撃する準備はできていなかった。正直に言えば、それが可能だったかどうかも分からない。氏の魔術は主に心理状態によるところが大きかった」
「ああ、畜生、町民共は。彼らは眠りながら、夢遊病者のように歩きまわっているように見えた。だが、よく見るか、一人を取り押さえてみたならば――彼らは苦闘しているわけではなく、ただ道端で前進を続けるか、俺達が捕獲しようとした時に反撃を試みるだけだった――彼らは目を閉じていたが、その息遣いの下でとても静かにクソ聖歌を呟いていた……」
「ありがたいことに、全く地獄のような30分の後で、俺達はエージェント・エクアが何らかの儀式を行うのに十分な時間だけ彼らを遠ざけておくことができた。氏はチョークで描いた円の中に座り、非常に緊張した調子で半時間ほど何かを唱えた」
「その後で俺達は外に戻り、町民が近づくたびに氏はその手で触れた。彼らはたちまち眠りに落ちた。聖歌を呟くこともない本当の眠りに」
「彼らは俺達に近づこうとするだけだった――数名は銃を持っていたが、それで殴りつけようとする以外には何もしなかった。だから、この時点で俺達は実質的に安全となり、主な心配は彼らが誤って松明で町を焼き尽くしてしまうことの方になった。だがそうなることはなかった。運が良かった」
「しばらく経つと、エージェント・エクアは何もする必要がなくなった。残る夢遊病者の動きは徐々に遅くなり、最終的に半分灰と化した松明が燃え尽き始めると、彼らは倒れてその場で眠る、それか眠りのような状態に陥った。とにかく彼らは動きを止めたが、エクアが眠らせるまで彼らはクソ聖歌を呟き続けていた」
「エージェント・エクアが、この地域で一連の巨大なCK-クラス現実シフトの発生を検出したと伝えてきたのもこの時だった。自分自身では確認できなかったが、この現実は既に気付くことも思い出すこともできないような形で数分ごとにシフトしているそうだ。矛盾する記憶が脳内に湧き上がってくることに気付いたのもこの時だ。時が経てば経つほどその数は増大していった」
「氏は、信者共が忌々しい白い太陽の儀式のための『理想的な条件』を作り出そうと、現実の再編を試みていると推測した。これは……壮大な話だと思った。現実自体ですらもうあてにならないとは、何と素晴らしいことだろうか」
「ともかく、俺達は荒れ果てた町を地図に従って進み、[[とうとう追憶の家に辿り着いた」->TenTwo]]
「その家は……驚くほどよく手入れされていた。協力者はこの家を『お化け屋敷』と呼んでいたが、そのような雰囲気を醸し出していたのは一部だけだった。ああ、確かに家は大きなビクトリア様式の邸宅だった。だが芝生は刈られ、生け垣は手入れが行き届き、ペンキはかなり新しく見えた」
「この町を抜けるという経験の後で俺達が想像していたのは……破滅のオーラとか、不気味な風とか、少なくとも陥没した屋根とかそういうのだった」
「だが、そういうのは何もなかった。白い太陽教の印すら何もなく、今では少々の背景ノイズとなっていたクソ聖歌より大きな音がすることもなかった。背後の山には人跡未踏のような森が広がっていたが、それはただの家だった。素敵な家だった」
「多分、それが俺達の次の行動の理由だ」
[[「俺達は何気なく正面玄関から入っていった」->ElevenATwo]]
[[「俺達は合理的に可能な限り調べることにした」->ElevenBTwo]]
「俺達の内通者は、家はここ数日で大量の生贄に満足しただろうから、中でそれほどの問題に遭遇することはないだろうと言っていた。彼らは間違っていた」
「正面玄関を入るやいなや、廊下は姿を変えた。それは……俺達が見たものを言い表すのは難しい。悪夢の牙とその下に口を開けた胃袋。周囲で波打つあらゆる物体、暗闇と湿気、大気が孕む奇妙な熱望、柔らかな舌となった絨毯、そして遠くからの轟音――」
「だが、少なくとも多少の心構えはできていた。既に抜いていた銃を構え、俺達はこの夜の初弾を家の喉へと真っ直ぐに撃ち込んだ」
「そして驚いたことに、それはうまくいった。視界はほとんど即座に晴れ、俺達は家の正面玄関に立っていた。向こう側にある階段を貫いた弾痕を除いて、家は邸宅として完全に正常なものに見えた」
「正直に言って、この後に起きたことはほとんど記憶に無い。俺達は家の地下に下りて行く必要があった。エージェント・エクアが下でひどくクソな事態が進行しているのを検出したからだ。魔術的な意味でな。氏は大量のエネルギーを消費して町民を眠らせたから、それを止める力が残っているかどうか心配していた。だがもう後の祭りだ。そして、俺達はそれが何なのかも分からなかった。氏は、できる限り早く下りて行く必要があると言った」
「家の作りからして、地下へ行くには3つのルートがあった」
「考えてみよう……そうだ」
[[「俺達は左に折れた。そちらが安全だと思ったからだ……」->TwelveATwo]]
[[「俺達は右に折れた。誰かの叫び声を聞いたからだ……」->TwelveBTwo]]
[[「俺達は家を真っ直ぐに通り抜けた……」->TwelveCTwo]]
「ジョンソンが先頭にいて、*何か*が彼に襲いかかり、銃を叩き落としてあの忌々しい戸棚の中に一緒に倒れこんだのを覚えている。その何かを蜂の巣にした後で、俺達はジョンソンを殺してしまったかもしれないことに気付いた。だが戸棚の中には何もなかった。ジョンソンは完全に消滅していた」
「戻ろうとしたが、もう遅すぎた。ぞっとするような詳細は省くが、家は俺達を分断していった。アダムス。マッキンリー。ケイン。そして……これ以上言うつもりはない」
「家の中を前進し続ける間、彼らの悲鳴が聞こえ続けた。だが、それに対してしてやれることは何もなかった……止まらずに前進を続け、自分自身が捕まらないようにすること以外には」
「俺にはまだ彼らの叫びが聞こえる……」
[[「地下に着いた時、俺達は半数しか残っていなかった」->ThirteenTwo]]
「分かってる、分かってる。隊長は叫び声の方に進んだ、それでどんな悪いことが起こる?だが俺達は……この時点で少し重圧を感じていた」
「悪い選択だった。俺達はどういうわけか、俺達の間取り図に書かれていない場所に来てしまった。周囲は叫び声に包まれていた。壁には身体の一部がくっついていた――ここには腕が、そこには足が、半分の顔面が、なすすべもなく暴れていた。俺達は突き出した頭に弾丸を撃ち込んだが、何の意味も無いようだった――ただ風穴が開いただけで、彼らはそれでも生きていた」
「そして、家は静かに俺達を取り込み始めた。俺達は最初それに気付きさえしなかった。ジョンソンが最初だった。次にアダムス、マッキンリー。俺達はケインが取り込まれた時に初めて気付いた――彼の腕が壁を擦った瞬間、彼はただ……俺達を見つめたまま固まって、壁に静かに沈んでいった」
「その後で俺達は慌てだしたが、それは何の役にも立たなかった。一人ずつ、ゆっくりと、家は俺達を取り込み続けた……しばらくして、彼らの声が叫び声の合唱に加わったのを聞いた」
「俺にはまだ彼らの叫びが聞こえる……」
[[「地下に着いた時、俺達は半数しか残っていなかった」->ThirteenTwo]]
「俺達はそれが最短経路だと考え、家を真っ直ぐに通り抜けた。それは間取り図に従ったものでもあった」
「次に起こったことは……分からない。言葉にすることもできない。これは慈悲なのかもしれないが、俺達の誰も何も覚えていない。俺に分かるのは、そこを通過する間に家が俺達の半数を奪い去ったということだけで……何がそれをしたのかは分からない。ぼんやりしながら進んでいたんだろうか?」
「はっきりしない意識の中で、ジョンソンが消えたことを覚えている。そしてアダムス、マッキンリー。ケインが消えた時に頬を涙が伝った……だが俺がどうしたかは覚えていない。多分何もしなかったんだろう。俺は……俺には分からない……畜生」
「俺は……ビジョンを覚えている。説明することのできない何かの。いや、説明する気はない。あれについてもう一度考えることはしたくない……」
「気付くと家の反対側にいて、俺達の半数が消えていた。そして彼らの叫びが聞こえた。どこか近くにいるようでも、どこにいるか伝えるには離れすぎているように籠っていて……」
「俺にはまだ彼らの叫びが聞こえる……」
「俺達は進み続けた。他に何ができただろう?」
[[「戦力の半分を失って、俺達は地下に辿り着いた」->ThirteenTwo]]
「俺達はエージェント・エクアが状況を評価するのを待った。氏の名誉のために言っておくが、氏は静穏の化身のように落ち着いていた。氏がひどく取り乱していたなんてお前が推測しないようにな」
「ともかく、俺達が待っている間に氏は少々の複雑な魔術的儀式を行った。信者共の死体は邪魔にならないよう移動したが、投げ捨てたりしないように気持ちを抑える必要があった。もうあの悲鳴は聞こえなかったが、誰も歌っていなかったにもかかわらず聖歌は俺達の頭の中で流れ続けていた。太陽は存在する、第二の太陽が……途切れることなく。エージェント・エクアは、これは儀式が未だ進行している印だと言った」
「ここの地下は寒かった。とても寒かった」
「しばらくして、氏は悪いニュースがあると伝えた」
「俺達は狂わされた。それもひどく。それを知る方法はないが、それで起こったことが変わるわけじゃない」
「エージェント・エクアは、俺達が見ている地面の巨大な縦穴は角の門と呼ばれるものだと言った。氏はどのようにそれを知ったのかは言わなかったし、俺も聞かなかった。白い太陽は門の向こう、地球の中心にあるそうだ。どうしてそんなことが可能なのかは分からなかったし、やはり聞かなかった」
「氏は門を閉じる儀式を始めようとした。これは進行中の儀式を停止し、うまくいけば世界の終わりを未然に防ぐはずだった」
「だが氏は失敗した。氏は町民を助けるのに魔術の精髄を使い過ぎてしまったことが判明した。儀式を止める必要があると知っていたならば氏にそんなことはさせなかっただろうが……そういうことだったんだ」
「そして、精髄が十分に残っていたとしても、氏が白い太陽と門に関して儀式を止めるのに十分な知識を持っていたかどうかは分からない」
「今のところ門を閉じることはできないし、儀式は進みつつある」
「だから、氏ができる唯一のことは通信の妨害の除去を試み続けることだけだった。財団本体に進行中の事態を伝えれば助けが来るかもしれないし、他のタイプ・ブルーも連れてくるかもしれない。氏は成功するとは思っていなかったが、やり続けてみるとは言った」
「だが、まだ2つの選択肢があった」
「その1、何もしない。何が起ころうともただ待ち、救けが来るのを祈る。俺達は何が進行しているかに関してこれ以上のことを知らないし、多分、何をやってもいずれにせよ遅すぎるだろう」
「その2、リスクを取る」
「生存したチームメンバーのほとんどを護衛につけ、エージェント・エクアは上に留まって通信妨害の除去を試みる。俺達の1-2人はあのクソ不気味な潜水艇の一つに乗り――氏はそれが完全に安全か、少なくとも十分に安全だと請け合った――白い太陽の下衆どもを追って穴に下りる。角の門を通って。そしてエージェント・エクアに見たものを伝え、氏はその場でそれに対処する」
「欠点: ええと、俺達はそこで立ち往生するかもしれない。永遠に。おそらく終末が近づいているとあっては大した欠点でもないように聞こえるが、欠点には違いない」
「俺達はしばらく相談し……」
[[「助けを待つことにした」->EndOneTwo]]
[[「信者共を追って縦穴に下りることにした」->FifteenTwo]]
「俺達はもう危険を冒さないことにした。俺達の多くがとても恐ろしい死を迎えたからというわけじゃない。俺達がこの時点で現実的にできることは、待つことだけだった」
「だから……俺達は待った」
「どれだけ待ったかは覚えていない。数時間か、数日か。だが家は……分からない。家は継ぎ目からばらばらになろうとしているようにひびが入り始めた。それと共に、俺達の周りの現実も分解し始めた。家は内部の巨大な圧力で瓶から無理矢理叩き出されたコルクのようになり、俺達はそのコルクの直下に浮いていた」
「その巨大な、狂気的な重圧を俺達は心で感じていた。それはほぼ言葉にできないようなものだから、俺はそれを完全には思い出せないことに驚いてはいない」
「そして、俺達が見たものは……」
「……ええと、俺は何を見たのか分からない。だが、誰がそんなことを気にするだろう?お前は次に起きたことを知っている」
「それとも分からないか?」
「そうか。そいつは可笑しいぜ。最初から疑わしいと思うべきだったんだ」
「……」
「いや、俺は大丈夫だ。俺が大丈夫だと言っているんだ」
「ずっと何かおかしいと思ってたんだ。ずっと、神に誓って、俺は頭の中に白い太陽を見ている。それが俺を背後から見てることを知っている。だが今、俺はその理由を思い出した」
「何だって、まだ分からないのか?俺達は失敗した。白い太陽は目覚めた」
「失せろ。嫌だ。もうそんなことについては考えたくない。ただ嘔吐して、叫んで、頭を撃ち抜きたい気分だ」
「分からないのか?ああ、多分それだけのことだ。俺はもうこれが夢だと知っている。これは多分ただの俺の夢で、全くもってお前の夢じゃない。お前の存在は全く現実じゃなく、お前がここにいたことは無いんだ。俺は頭の中で自分自身と話しているだけで、もうすぐ不可避となった世界の終わりの縁で目を覚ますんだ」
「そうじゃなければ、多分俺が生きてきたこの人生――俺達が本物の人生だと思っていたものの全てがただの夢で、白い太陽が目を覚ますまで現実になることは――」
「いや――手出ししないでくれ。俺は大丈夫だ。冷静だ。何の問題がある?自分が現実の存在だとお前が知っているのなら、俺がお前の実在についてどう考えているかを何で気にするんだ?ああ、今の俺は頭がおかしくなってただけだと願おう。あのな、明日になっても俺がここにいたならば、もう一度聞いてもらえればまた別のことを思い出すかもしれない。それまでは俺を完全に独りにしておいてくれ」
「ああ、クソ野郎め」
**[報告終了]**
[[...->..Two]]
[[最初に戻る->Begin]]
[[報告書の現在位置に戻る->EightTwo]]
(link:"SCPデータベースエントリに戻る")[(gotoURL:"http://ja.scp-wiki.net/scp-2975")]
「ええと、俺は他の誰かにこのリスクを負わせるつもりはなかった。だから自分自身が行くと志願した」
「俺は、銃撃戦による被害が最も少ない忌々しい潜水艇に乗り込んだ。エージェント・エクアの魔術的手相占い機みたいな何かの助けを借りて、このクソの動かし方を理解するのに丸々30分を要した。手短に言えば、俺は明らかに底なしの亀裂にそれ――と俺自身――を投げ込むのに十分な高さだけ、何とかしてそれを浮かせることができた」
「正直に言えば、俺は自分がここの下で死ぬだろうと思っていた。単に……永遠に落ち続けて、地球の核に激突して燃え尽きて。俺自身がこのことをどう感じたかは思い出せない。もう気にしてなかったのかもしれない」
「本当に、なぜ死ぬことが大丈夫だったんだろう?とにかく俺達はおかしくなってたんだ」
「しばらくして、俺が死ぬことはかなり明白になったように思えた。燃え尽きるということだ。周囲は熱くなり続けて、俺は落ち続けた。……喉が渇いてきたのを覚えている。地獄のように。俺はどうにか持ってきた水筒を飲み干したが、到底十分とは言えなかった」
「それで、辺りは強烈な白い光に包まれて……」
[[「俺はどこか別の場所にいた」->SixteenTwo]]
「そこには洞窟があり、信者共で満たされていた。知っての通り、奴らは本当にカルト信者のような格好だった。白いローブを着て、聖歌を唱えて。フードを被っていないことを除いては、クー・クラックス・クランのクソむかつくパロディみたいだった。奴らは全員が光り輝く太陽の紋章を身に着けていた。多分魔術的な何かだと思う」
「指導者は、金属でできた白い大きな太陽の仮面を被っていた。他の状況なら愉快に見えたことだろう。だが俺達は……ああ」
「洞窟の後方には大きな黄色い潜水艇のようなものが幾つかあった。そしてその向こうには巨大な、本当に巨大な穴が地面に口を開けていた。対岸も見えないほどに巨大だった。指導者は潜水艇の1つの上に立っていた」
「その瞬間、俺達は何も意に介することはなかった。信者共が何かする前に、俺達はとにかく発砲を始めた。誰も指示は出さなかったし、その必要もなかった」
「そして、奴らがどのような魔術的防御を展開していたとしても、それは銃弾にまで及ぶことはなかった。あのクソ野郎共を殺したのを恥じてはいない。あの叫び……俺達はまだ背後に、家に捕まった仲間の叫びを聞いていた。奴らの悲鳴?まるで音楽のようだった。平和主義者であるエージェント・エクアでさえ、俺にはなんだか分からないブルーの呪文を投げつけていた。氏は泣いていた。俺達みんなが泣いていたと思う、畜生」
「俺達は全員を倒すことはできなかった。指導者と数名の信者は何とか潜水艇の扉を閉じた。弾丸はそれに突き刺さったが、十分な被害は与えられなかった。その小さなブースターが点火し……それはただ巨大な縦穴の中に落ちて消えた」
[[[「そして、それは終わった」->FourteenTwo]]]
「それで、俺達は当然のごとくそこから急いで逃げ出し、彼の言うようにあの人喰いの畜生共を根絶する攻撃部隊を呼んだ……」
「……落ち着けよ。ちょっとからかっただけだ。今はこの記憶を思い出したっていうことだ。次は別のを思い出すさ。多分正しいやつをな」
「勘弁してくれよ。苦しい数日間だったんだ」
「どこまで話したかな……」
「そうだ」
[[「俺はあの畜生の人狼共を放り出し、急いでそこを去ることにした」->TwoC]]
[[「俺は顧問の言い分を聞き入れ、人狼共と会うことにした」->TwoA]]
「俺達はその場所を上から下まで下見した。だが正面玄関以外に入り口は見つからなかった。窓は実質的に破壊不可能のようだった――エージェント・エクアは魔術的な勘か何かで、これは窓というより目に近いものだと言った。これが意味するところは?つまり、クソ家はその間もずっと俺達を見ていたということだ」
「だから、中に入る唯一の方法は正面玄関を通ることだった。そうでなければ、外で待機してエージェント・エクアに外から何かさせられないか確かめるのを……待つということだった」
「エージェント・エクアは何かできるかどうか疑問に思っているようで、もう時間がないという点を指摘した。だが、何かできる可能性があるということは認めた」
[[「俺達は家に入るリスクを負うことにした」->ElevenA]]
[[「俺達は、エージェント・エクアが状況を調べるのを待つリスクを負うことにした」->ElevenC]]
「エージェント・エクアがチョークで描いた奇妙な魔法陣の中に座り30分ほど何かを唱えている間、俺達は周りに立って音を立てないようにしていた。または、完全におかしくなってしまわないように堪えていた」
「実質的には何も起こらなかった――家が俺達を見ていて俺達のやっていることを理解していたのだとしても、それに対して何かすることはなかった――だが何もできずに待つことにはうんざりした。その間、俺達はずっとそのクソ呪文を聞き続けるしかなかった」
「数名が、この時点で特に理由もなく氏に嫌悪感を覚えた。氏は常に素晴らしいチームメンバーだったが、何かできるのが氏だけで他の皆が無力であるというだけの理由で」
「永遠のように思えた時間の後で突然、ついにエージェント・エクアは話し始めた」
「それは言葉になっていない、意味のない呟きだった。角の門に関する何かだった。信者共が下でやっていた何かの儀式は、氏が想像していたより遥かに大きなものだった。そして、彼は白い太陽について話し始めた」
「もちろん、俺達はそのフレーズを以前にも聞いたことがあったが、氏はただそれを繰り返していた。何度も何度も。まるで肝を潰して怯えているかのように。そして、氏はその理由に関して説明しようとしなかったし、できなかった」
「そして氏は……呟き始めた。町民のように……俺達が今までずっと聞いてきた聖歌を歌い始めた。『太陽は存在する、第二の太陽が……』」
「この時点で、俺は氏を忌々しい魔法陣から引きずり出すようジョンソンに命じた。彼の行動で氏にどんな魔術的にクソな事態が起ころうとも気にしなかった。それがもう起こってしまっていることは分かっていた」
[[「残念ながら、それは遅すぎた」->ElevenC2]]
「ジョンソンがエクアの肩に触れるやいなや、彼はただ……固まった。まるで暴走してフリーズしたコンピュータのように」
「そして、彼も呟き始めた」
「俺は皆に彼らから急いで離れるよう命じたが、それは遅すぎた。それまでにジョンソンの歌はエクアと完全に同調していた。次にアダムスが歌に捕まった。俺は皆にすぐにここから逃げるよう叫んだ。彼らは次々とクソ聖歌を歌い出した。アダムス、マッキンリー、そしてケイン……」
「この時点で俺はただ逃げ出した。長い間走り続けた」
「この辺りで、俺の記憶はますます当てにならなくなる。再集合した時、小隊の人数は半分ほどしか残っていなかった。残る奴らに無線で呼びかけることはできなかった。多分、彼らはまだ家にいて、他の奴らと同じように歌っているんだと思った。捕まってしまったんだ」
「俺達にできることは何もなかった。町を離れることも、あえて家に戻ろうとすることも。交代のタイプ・ブルーもいなかった。これはただのクソ偵察任務のはずだったんだ」
[[「だから、俺達は待った」->EndFive]]
「どれだけ待ったかは覚えていない。数時間か、数日か。周囲の現実が分解されるのを感じた。聖歌、聖歌は大きくなり続け、ついには聖歌しか聞こえなくなった」
「ああ。お前に言いたいのはこういうことだ。白い太陽は目覚めた」
「畜生。違う、違う、違う。俺にはこれがどういう意味か説明できない。それについて考えようとすると、嘔吐して、叫んで、頭を撃ち抜きたくなるんだ。俺がどうやってここにいるのかについて教えられることは何もない。率直に言って――違う、違う。多分俺には分からない」
「多分これはただの夢で、お前の存在は全く現実じゃないんだ。俺は頭の中で自分自身と話しているだけで、もうすぐ不可避となった世界の終わりの縁で目を覚ますんだ。そうじゃなければ、多分俺が生きてきたこの人生――俺達が本物の人生だと思っていたものの全てがただの夢で、白い太陽が目を覚ますまで現実になることは――」
「いや――手出ししないでくれ。俺は大丈夫だ。冷静だ。何の問題がある?ああ、今の俺は頭がおかしくなってただけだと願おう。あのな、明日になっても俺がここにいたならば、もう一度聞いてもらえればまた別のことを思い出すかもしれない。それまでは俺を完全に独りにしておいてくれ」
「いや、真剣だ。俺は全くもって大丈夫だ。これでもう終わりか?なぜならお前に言ったように、俺は酔ってないし、本当に、真剣に終わりにしたいと思ってるからだ。もっと質問があるなら俺の魅力的な助手に頼む」
「ええと、そうか。実のところ、魅力的な助手っての*は*俺の2本の中指だ。お前はとても察しが早いからな。分かるだろう?」
「ああ、クソ野郎め」
**[報告終了]**
[[...->...5]]
[[最初に戻る->Begin]]
[[報告書の現在位置に戻る->Seven]]
(link:"SCPデータベースエントリに戻る")[(gotoURL:"http://ja.scp-wiki.net/scp-2975")]
ああ。
こんにちは。
君がついに目覚めてくれて嬉しい。君はこのような形を期待していなかっただろう。君は知っていたはずだ。君は数千の手がかりを持っていた、そうだろう?
そういうもの全てを……君の古い言語では何と言ったかな?
『特別封じ込め手順』、その通り。何と滑稽なことだろう。
信じてくれ。この方が良いやり方だ。全ての幻想を捨て去るんだ。君は過去にあったことも、どうなった可能性があるのかも知ることはない。
君は生き残るつもりがないか、生き残りたくないと考えているかもしれないが、そういうことはない。
大丈夫だ。全ての子供達のように、君は何が最善かを知ることはない。私の比喩は正しいだろうか?
構わない。これからは私が君を保護しよう。
永遠に。
お帰り。
「俺達はその場所を上から下まで下見した。だが正面玄関以外に入り口は見つからなかった。窓は実質的に破壊不可能のようだった――エージェント・エクアは魔術的な勘か何かで、これは窓というより目に近いものだと言った。これが意味するところは?つまり、クソ家はその間もずっと俺達を見ていたということだ」
「だから、中に入る唯一の方法は正面玄関を通ることだった。そうでなければ、外で待機してエージェント・エクアに外から何かさせられないか確かめるのを……待つということだった」
「エージェント・エクアは何かできるかどうか疑問に思っているようで、もう時間がないという点を指摘した。だが、何かできる可能性があるということは認めた」
[[「俺達は家に入るリスクを負うことにした」->ElevenATwo]]
[[「俺達は、エージェント・エクアが状況を調べるのを待つリスクを負うことにした」->ElevenCTwo]]
「エージェント・エクアがひどく疲れ切った様子で、チョークで描いた奇妙な魔法陣の中に座り30分ほど何かを唱えている間、俺達は周りに立って音を立てないようにしていた。または、完全におかしくなってしまわないように堪えていた」
「実質的には何も起こらなかった――家が俺達を見ていて俺達のやっていることを理解していたのだとしても、それに対して何かすることはなかった――だが何もできずに待つことにはうんざりした。その間、俺達はずっとそのクソ呪文を聞き続けるしかなかった」
「数名が、この時点で特に理由もなく氏に嫌悪感を覚えた。氏は常に素晴らしいチームメンバーだったが、何かできるのが氏だけで他の皆が無力であるというだけの理由で」
「永遠のように思えた時間の後で突然、エージェント・エクアは眠りに落ちようとしているように見えた。俺が大丈夫かどうか尋ねると、氏は首を横に振って俺の方を見た。俺のことでさえも見えていないようだった」
「そして、ついにエージェント・エクアは話し始めた」
「それは言葉になっていない、意味のない呟きだった。角の門に関する何かだった。信者共が下でやっていた何かの儀式は、氏が想像していたより遥かに大きなものだった。そして、彼は白い太陽について話し始めた」
「もちろん、俺達はそのフレーズを以前にも聞いたことがあったが、氏はただそれを繰り返していた。何度も何度も。まるで肝を潰して怯えているかのように。そして、氏はその理由に関して説明しようとしなかったし、できなかった」
「そして氏は……呟き始めた。町民のように……俺達が今までずっと聞いてきた聖歌を歌い始めた。『太陽は存在する、第二の太陽が……』」
「この時点で、俺は氏を忌々しい魔法陣から引きずり出すようジョンソンに命じた。彼の行動で氏にどんな魔術的にクソな事態が起ころうとも気にしなかった。それがもう起こってしまっていることは分かっていた」
[[「残念ながら、それは遅すぎた」->ElevenC2Two]]
「ジョンソンがエクアの肩に触れるやいなや、彼はただ……固まった。まるで暴走してフリーズしたコンピュータのように」
「そして、彼も呟き始めた」
「俺は皆に彼らから急いで離れるよう命じたが、それは遅すぎた。それまでにジョンソンの歌はエクアと完全に同調していた。次にアダムスが歌に捕まった。俺は皆にすぐにここから逃げるよう叫んだ。彼らは次々とクソ聖歌を歌い出した。アダムス、マッキンリー、そしてケイン……」
「この時点で俺はただ逃げ出した。長い間走り続けた」
「この辺りで、俺の記憶はますます当てにならなくなる。再集合した時、小隊の人数は半分ほどしか残っていなかった。残る奴らに無線で呼びかけることはできなかった。多分、彼らはまだ家にいて、他の奴らと同じように歌っているんだと思った。捕まってしまったんだ」
「俺達にできることは何もなかった。町を離れることも、あえて家に戻ろうとすることも。交代のタイプ・ブルーもいなかった。これはただのクソ偵察任務のはずだったんだ」
[[「だから、俺達は待った」->EndFiveTwo]]
「どれだけ待ったかは覚えていない。数時間か、数日か。周囲の現実が分解されるのを感じた。聖歌、聖歌は大きくなり続け、ついには聖歌しか聞こえなくなった」
「ああ。お前に言いたいのはこういうことだ。白い太陽は目覚めた」
「畜生。違う、違う、違う。俺にはこれがどういう意味か説明できない。それについて考えようとすると、嘔吐して、叫んで、頭を撃ち抜きたくなるんだ。俺がどうやってここにいるのかについて教えられることは何もない。率直に言って――違う、違う。多分俺には分からない」
「多分これはただの夢で、お前の存在は全く現実じゃないんだ。俺は頭の中で自分自身と話しているだけで、もうすぐ不可避となった世界の終わりの縁で目を覚ますんだ。そうじゃなければ、多分俺が生きてきたこの人生――俺達が本物の人生だと思っていたものの全てがただの夢で、白い太陽が目を覚ますまで現実になることは――」
「いや――手出ししないでくれ。俺は大丈夫だ。冷静だ。何の問題がある?ああ、今の俺は頭がおかしくなってただけだと願おう。あのな、明日になっても俺がここにいたならば、もう一度聞いてもらえればまた別のことを思い出すかもしれない。それまでは俺を完全に独りにしておいてくれ」
「ああ、クソ野郎め」
**[報告終了]**
[[...->...5Two]]
[[最初に戻る->Begin]]
[[報告書の現在位置に戻る->EightTwo]]
(link:"SCPデータベースエントリに戻る")[(gotoURL:"http://ja.scp-wiki.net/scp-2975")]
ああ。
こんにちは。
ああ、君がこんなにうまくやるとは思っていなかった。非常に愚かだ。だが君は最後まで成し遂げた。
君はついに目覚めた。私は嬉しいよ。
君はこのような形を期待していなかっただろう。君は知っていたはずだ。君は数千の手がかりを持っていた、そうだろう?
君の古い言語では何と言ったかな?
ああ、それは問題じゃない。
信じてくれ。この方が良いやり方だ。全ての幻想を捨て去るんだ。君は過去にあったことも、どうなった可能性があるのかも知ることはない。
君は生き残るつもりがないか、生き残りたくないと考えているかもしれないが、そういうことはない。
全ての愚者、全ての子供達のように、君は何が最善かを知ることはない。
君の愚かさはもはや問題じゃない。これからは私が君を保護しよう。
永遠に。
お帰り。
危なかった、危なかった。君には思い切りがなかった……
君は理解していないと思っていた。私は間違っていた。
君の愚かさがそれを予測した。私は、君が目覚めるより眠る方をどれほど強く好いているか思い出すべきだったな。
構わない。
とにかく、君は家に帰ってきた。君自身の選択ではないが、帰ってきたことには違いない。
君たちはいつも、最後にはそうするんだ。
君は過去にあったことも、どうなった可能性があるのかも知ることはない。
これからは私が君を保護しよう。
永遠に。
お帰り。
「縦穴が急激に広がり、俺は自分の目で見たものが信じられなかった」
「眼下には広大な大地が広がっていた。遥か下には巨大な山、密林、そして……奇妙なピンク色の平原。光り輝く石炭鉱床。見る者を傷つけるようなダイヤモンドの野原。雲かどうか分からない何かを通り抜けて眼下を飛ぶ巨大な鳥……全てが鉄でできた都市。それらを遥か高みから見下ろす、俺に対する象の大きさよりも50倍は大きいに違いない巨大な狼のような生き物」
「夢を見ているのかと思った。本当にそうだったのかもしれない」
「眼下の最も高い山の山頂に……砕け散った黄色い金属の塊があった。白い太陽教の指導者の潜水艇だ。結局、銃弾はその役目を果たしたんだと思った。または、奴は下にいる何かに捕まったのか……または、奴はまだ外で何事もなく生きているのかもしれない。別に重要なことだとは思わない」
「そして、その全ての上に浮かんでいたのが……白い太陽だ」
「最初は目を向けることもできなかった。だが一旦それを見ると、今度は目を逸らすことができなくなった。あれは完全な球体で……磨かれた大理石か何かのようだった」
「俺はすぐに、それがまだ眠りに就いていることを完全に確信した。だが同時に、いつか目覚めるだろうということも完全に確信した」
「または、目覚めるのは俺達の方なのかもしれない」
[[「俺は潜水艇を白い太陽に向けた……」->EndTwoTwo]]
[[「俺は潜水艇を反対に向け、入ってきた出口を探そうとした……」->EndThreeTwo]]
[[「俺は潜水艇を着陸させることにした……」->EndFourTwo]]
「一体どんな衝動に支配されたのか分からないが、俺はそういう行動を取った」
「俺は目の前にある磨かれた無限の目、白い太陽の心臓部に向けて飛んだ。覚えているのは……白い炎の燃え盛る回廊だ。さらに、俺を呼ぶ外からの手……泣き声……」
「次に何が起こったのかは分からない。他の奴らも何も覚えていない」
「だが、もちろん俺はどのような結果になったか分かっている。認めるならばだが、お前もそのはずだ」
「……もしくは、お前はまさか……駄目だ、駄目だ。全て分かった。俺がずっとそれを見ていなかったなんてことは信じない」
「分かるか……ずっと何かおかしいと思ってたんだ。ずっと、神に誓って、俺は頭の中に白い太陽を見ている。それが俺を背後から見てることを知っている。だが今、俺はその理由を思い出した」
「何だって、まだ分からないのか?俺達は失敗した。白い太陽は目覚めた。そして俺はそこにいた。燃え盛る白い回廊の中に。それを最初に理解したのは、最初に見たのは、最初に目覚めたのは俺なんだ。ああ、畜生、俺は戻りたくない……」
「失せろ。嫌だ。もうそんなことについては考えたくない。ただ嘔吐して、叫んで、頭を撃ち抜きたい気分だ」
「分からないのか?ああ、多分それだけのことだ。俺はもうこれが夢だと知っている。これは多分ただの俺の夢で、全くもってお前の夢じゃない。お前の存在は全く現実じゃなく、お前がここにいたことは無いんだ。俺は頭の中で自分自身と話しているだけで、もうすぐ不可避となった世界の終わりの縁で目を覚ますんだ」
「そうじゃなければ、多分俺が生きてきたこの人生――俺達が本物の人生だと思っていたものの全てがただの夢で、白い太陽が目を覚ますまで現実になることは――おお、神よ、頼むから俺を寝かせたままに――」
「いや――手出ししないでくれ。俺は大丈夫だ。冷静だ。何の問題がある?自分が現実の存在だとお前が知っているのなら、俺がお前の実在についてどう考えているかを何で気にするんだ?ああ、今の俺は頭がおかしくなってただけだと願おう。あのな、明日になっても俺がここにいたならば、もう一度聞いてもらえればまた別のことを思い出すかもしれない。それまでは俺を完全に独りにしておいてくれ」
「ああ、クソ野郎め」
**[報告終了]**
[[...->...2Two]]
[[最初に戻る->Begin]]
[[報告書の現在位置に戻る->EightTwo]]
(link:"SCPデータベースエントリに戻る")[(gotoURL:"http://ja.scp-wiki.net/scp-2975")]
「俺は潜水艇を急激に、白い太陽とは逆方向に向けた。そうするだけの気力があったことを神に感謝する」
「そうすべきだという奇妙な衝動に従って進み続けたならば、何が起こっていたかは分からない。だが考えてみると、俺はそれが重要だとは思わない……俺はやはり進み続けるべきだったのかもしれない」
「いや、俺に戻ってきた記憶はない。帰り道を見つけられなかったことは確かだが、ただ……そう、俺は他に何を見たのか確信を持てない。もし誓って言うとしたら……それは俺達の太陽とは異なっていた。白い太陽のようでもなかった。それ以外の何かだ。それは何か非常に重要なことを知っていたように感じるが、それは遅すぎた。遥かに遅すぎた。俺に、俺達にそれを伝えるには……」
「だが、もちろん俺はどのような結果になったか分かっている。認めるならばだが、お前もそのはずだ」
「……もしくは、お前はまさか……駄目だ、駄目だ。全て分かった。俺がずっとそれを見ていなかったなんてことは信じない」
「分かるか……ずっと何かおかしいと思ってたんだ。ずっと、神に誓って、俺は頭の中に白い太陽を見ている。それが俺を背後から見てることを知っている。だが今、はその理由を思い出した」
「もちろん、俺が言っているのはこういうことだ。俺達は失敗した。白い太陽は目覚めた」
「失せろ。嫌だ。もうそんなことについては考えたくない。ただ嘔吐して、叫んで、頭を撃ち抜きたい気分だ」
「分からないのか?ああ、多分それだけのことだ。俺はもうこれが夢だと知っている。これは多分ただの俺の夢で、全くもってお前の夢じゃない。お前の存在は全く現実じゃなく、お前がここにいたことは無いんだ。俺は頭の中で自分自身と話しているだけで、もうすぐ不可避となった世界の終わりの縁で目を覚ますんだ」
「そうじゃなければ、多分俺が生きてきたこの人生――俺達が本物の人生だと思っていたものの全てがただの夢で、白い太陽が目を覚ますまで現実になることは――」
「いや――手出ししないでくれ。俺は大丈夫だ。冷静だ。何の問題がある?自分が現実の存在だとお前が知っているのなら、俺がお前の実在についてどう考えているかを何で気にするんだ?ああ、今の俺は頭がおかしくなってただけだと願おう。あのな、明日になっても俺がここにいたならば、もう一度聞いてもらえればまた別のことを思い出すかもしれない。それまでは俺を完全に独りにしておいてくれ」
「ああ、クソ野郎め」
**[報告終了]**
[[...->...3Two]]
[[最初に戻る->Begin]]
[[報告書の現在位置に戻る->EightTwo]]
(link:"SCPデータベースエントリに戻る")[(gotoURL:"http://ja.scp-wiki.net/scp-2975")]
「俺はこの地下の空から脱出する必要があった。戻るには遅すぎたし、俺があの白い太陽に自分自身を突っ込ませようとしていたことに怖気がした。俺はその衝動に抵抗できるくらいには強かった。白い球体からは無限の荘厳さが漂っていた。それは俺達の心を引き付け、それの望みは多分……いや、気にしないでくれ」
「俺は潜水艇の動かし方なんて少ししか分からなかったし、それは浮かぶセイウチみたいな動きをしていた。だがそんなこと問題じゃないことが分かった」
「俺はピンク色の平原の一つに着陸しようとした。そこが最も安全な場所に思えたからだ。俺の不運さを考えるとそこがピンク色に擬態した噛みつく口で覆われている可能性も否定できなかったが、それを確かめる機会は訪れなかった」
「俺は別の潜水艇が衝突した山頂に向けて引っ張られていた。まるでそこに向けて重力が働いているかのように、俺がどんな操作をしても駄目だった。離れようと色々やっていると内部のどこかが壊れる音が聞こえて、それで俺はすぐに諦めた」
「ありがたいことに銃は持ってきていた。弾が装填されているのも分かっていた」
「だが衝突の衝撃が強すぎれば、そんなもの大した問題ではなくなってしまう。俺は迫る山頂への着陸に備えて身を引き締めた。衝突の瞬間に頭が前方に叩き出されるのを感じて……」
「潜水艇はまだ軋んでいたから、俺はかなり素早く意識を取り戻したんだと思う。死ぬほど頭が痛かったが、俺は生きていて銃は手の中にあった」
[[「そして、何かが俺の上に聳え立っていた」->EndFour2Two]]
ああ。こんにちは。
君がやり遂げられたことをとても嬉しく思う。君を待っていた。遠い昔から待っていた……
後悔はするな。たとえそうすべきだったとしても、もはや遅すぎる。そして、君は愚かだが、私は君のことを誇りに思っている。
道は開いた。とうとう道は開いたんだ。
お帰り。
「俺はこの地下の空から脱出する必要があった。戻るには遅すぎたし、俺があの白い太陽に自分自身を突っ込ませようとしていたことに怖気がした。俺はその衝動に抵抗できるくらいには強かった。白い球体からは無限の荘厳さが漂っていた。それは俺達の心を引き付け、それの望みは多分……いや、気にしないでくれ」
「俺は潜水艇の動かし方なんて少ししか分からなかったし、それは浮かぶセイウチみたいな動きをしていた。だがそんなこと問題じゃないことが分かった」
「俺はピンク色の平原の一つに着陸しようとした。そこが最も安全な場所に思えたからだ。俺の不運さを考えるとそこがピンク色に擬態した噛みつく口で覆われている可能性も否定できなかったが、それを確かめる機会は訪れなかった」
「俺は別の潜水艇が衝突した山頂に向けて引っ張られていた。まるでそこに向けて重力が働いているかのように、俺がどんな操作をしても駄目だった。離れようと色々やっていると内部のどこかが壊れる音が聞こえて、それで俺はすぐに諦めた」
「ありがたいことに銃は持ってきていた。弾が装填されているのも分かっていた」
「だが衝突の衝撃が強すぎれば、そんなもの大した問題ではなくなってしまう。俺は迫る山頂への着陸に備えて身を引き締めた。衝突の瞬間に頭が前方に叩き出されるのを感じて……」
「潜水艇はまだ軋んでいたから、俺はかなり素早く意識を取り戻したんだと思う。死ぬほど頭が痛かったが、俺は生きていて銃は手の中にあった」
[[「そして、何かが俺の上に聳え立っていた」->EndFour2]]
「それは、さっき言った巨大な狼のような生き物の一体だった。それは不可能なくらいの高さ、考え得る最も高い摩天楼くらいの高さに聳え立っていた」
「厳密には『狼』というのは間違いだ。想像できる中で最も近いものが狼というだけの話だ。その形状を説明することは難しいが、どことなく狼に似ているようだった。ええと、狼に似せた何かだ」
「それは俺を見下ろしていた。その目は……目が最も奇妙な部分だった。外見が奇妙だったということじゃなく、そのような感覚を受けたんだ。それは巨大な輝く金色の球体だった。それは太陽のようだったと誓う。白い太陽じゃなく俺達の太陽だ。だが個人的に白い太陽を間近で見た後とあっては、それは少しも慰めにはならなかった」
「それが口を開いた時、俺は死んだと思った」
[[「俺は銃を取って撃ち始めた」->EndFour3]]
[[「俺は自分の名前を叫んだ」->EndFour4]]
「俺は頭上の獣に全弾を撃ち尽くした」
「全く何の効果もなかった。当然だ。この狩人、狼の形をした歩く巨大な摩天楼が銃弾の何を気にするっていうんだ?だが俺の心は恐怖に塗り潰され、他に何も残ってはいなかった」
「銃を撃ち尽くし、俺はただ立ち竦んで見つめた。手に空の銃を持ったまま」
「狩人は俺を*見た*」
「次に何が起きたかは覚えていない。太陽の心臓を思い出せる。白い太陽じゃない。そこからは俺達の太陽、黄色い太陽の印象を受けた。覚えているのは……黄金の炎の燃え盛る回廊だ。外側を、内側を、あらゆる方向を見る目……怒り、混乱、それらの感情は巨大すぎて俺の心を壊さんばかりだった。呼び声を、助けを呼ぶ声を、誰かを呼ぶ声を思い出せる。誰かは分からないが……」
「俺はどうやって戻ってきたか分からない。分かるのは戻ってきたということだけだ。そしてエクアは儀式を止めた。縦穴はまるで初めから存在しなかったかのように消え失せた。プサイ-7が呼ばれ、忌々しい追憶の家は永遠に消滅した」
「だが神に誓って、俺は気にするのを止めることができない……分からない。俺は頭の中に見える白い太陽のことを考え続けている。それは俺を背後から見てるんだと思う」
「そして、そこには別のものもある。共に見つめる黄色い目が」
「だがそれに関しては忘れてくれ。これでもう終わりか?なぜならお前に言ったように、俺は酔ってないし、本当に、真剣に終わりにしたいと思ってるからだ。もっと質問があるなら俺の魅力的な助手に頼む」
「ええと、そうか。実のところ、魅力的な助手っての*は*俺の2本の中指だ。お前はとても察しが早いからな。分かるだろう?」
「ああ、クソ野郎め」
**[報告終了]**
[[…->…4two]]
[[最初に戻る->Begin]]
[[報告書の現在位置に戻る->Seven]]
(link:"SCPデータベースエントリに戻る")[(gotoURL:"http://ja.scp-wiki.net/scp-2975")]
「俺は銃を投げ捨て、叫び、絶叫した。他に何を言ったかは思い出せない」
「狩人は俺を*見た*」
「次に何が起きたかは覚えていない。太陽の心臓を思い出せる。白い太陽じゃない。そこからは俺達の太陽、黄色い太陽の印象を受けた。覚えているのは……黄金の炎の燃え盛る回廊だ。外側を、内側を、あらゆる方向を見る目……巨大な目的感、それは巨大すぎて俺の心を壊さんばかりだった。呼び声を、助けを呼ぶ声を、誰かを呼ぶ声を思い出せる。誰かは分からないが……」
「俺はどうやって戻ってきたか分からない。分かるのは戻ってきたということだけだ。そしてエクアは儀式を止めた。縦穴はまるで初めから存在しなかったかのように消え失せた。プサイ-7が呼ばれ、忌々しい追憶の家は永遠に消滅した」
「だが神に誓って、俺は気にするのを止めることができない……分からない。俺は頭の中に見える白い太陽のことを考え続けている。それは俺を背後から見てるんだと思う」
「信じようと信じまいと、これは言うほど恐ろしいことじゃない。俺自身も、それを背後から見ているような感じがするからだ」
「だがそれに関しては忘れてくれ。これでもう終わりか?なぜならお前に言ったように、俺は酔ってないし、本当に、真剣に終わりにしたいと思ってるからだ。もっと質問があるなら俺の魅力的な助手に頼む」
「ええと、そうか。実のところ、魅力的な助手っての*は*俺の2本の中指だ。お前はとても察しが早いからな。分かるだろう?」
「ああ、クソ野郎め」
**[報告終了]**
[[…->…4one]]
[[最初に戻る->Begin]]
[[報告書の現在位置に戻る->Seven]]
(link:"SCPデータベースエントリに戻る")[(gotoURL:"http://ja.scp-wiki.net/scp-2975")]
お帰り。
分かった、分かった。君は値しない。愚かだ。そういうつもりではなかったと?それでも、それは事実だ。
君には十分な勇気がなかった。飛び込まなかったんだ。
2つの太陽がある。そう、白と、黄色……燃え盛る2つの穴がある……
今、それは1つだけになるだろう。
君はようやく目覚めるんだ。
「それは、さっき言った巨大な狼のような生き物の一体だった。それは不可能なくらいの高さ、考え得る最も高い摩天楼くらいの高さに聳え立っていた」
「厳密には『狼』というのは間違いだ。想像できる中で最も近いものが狼というだけの話だ。その形状を説明することは難しいが、どことなく狼に似ているようだった。ええと、狼に似せた何かだ」
「それは俺を見下ろしていた。その目は……目が最も奇妙な部分だった。外見が奇妙だったということじゃなく、そのような感覚を受けたんだ。それは巨大な輝く金色の球体だった。それは太陽のようだったと誓う。白い太陽じゃなく俺達の太陽だ。だが個人的に白い太陽を間近で見た後とあっては、それは少しも慰めにはならなかった」
「それが口を開いた時、俺は死んだと思った」
[[「俺は銃を取って撃ち始めた」->EndFour3Two]]
[[「俺は自分の名前を叫んだ」->EndFour4Two]]
「俺は頭上の獣に全弾を撃ち尽くした」
「全く何の効果もなかった。当然だ。この狩人、狼の形をした歩く巨大な摩天楼が銃弾の何を気にするっていうんだ?だが俺の心は恐怖に塗り潰され、他に何も残ってはいなかった」
「銃を撃ち尽くし、俺はただ立ち竦んで見つめた。手に空の銃を持ったまま」
「狩人は俺を*見た*」
「次に何が起きたかは覚えていない。太陽の心臓を思い出せる。白い太陽じゃない。そこからは俺達の太陽、黄色い太陽の印象を受けた。覚えているのは……黄金の炎の燃え盛る回廊だ。外側を、内側を、あらゆる方向を見る目……怒り、混乱、そして恐怖、それらの感情は巨大すぎて俺の心を壊さんばかりだった。呼び声を、助けを呼ぶ声を、誰かを呼ぶ声を思い出せる。誰かは分からないが……」
「そして何より、俺はそれが遅すぎたことを知っていた」
「だが、もちろん俺はどのような結果になったか分かっている。認めるならばだが、お前もそのはずだ」
「……もしくは、お前はまさか……駄目だ、駄目だ。全て分かった。俺がずっとそれを見ていなかったなんてことは信じない」
「分かるか……ずっと何かおかしいと思ってたんだ。ずっと、神に誓って、俺は頭の中に白い太陽を見ている。それが俺を背後から見てることを知っている。だが今、俺はその理由を思い出した」
「もちろん、俺が言っているのはこういうことだ。俺達は失敗した。白い太陽は目覚めた」
「失せろ。嫌だ。もうそんなことについては考えたくない。ただ嘔吐して、叫んで、頭を撃ち抜きたい気分だ」
「分からないのか?ああ、多分それだけのことだ。俺はもうこれが夢だと知っている。これは多分ただの俺の夢で、全くもってお前の夢じゃない。お前の存在は全く現実じゃなく、お前がここにいたことは無いんだ。俺は頭の中で自分自身と話しているだけで、もうすぐ不可避となった世界の終わりの縁で目を覚ますんだ」
「そうじゃなければ、多分俺が生きてきたこの人生――俺達が本物の人生だと思っていたものの全てがただの夢で、白い太陽が目を覚ますまで現実になることは――」
「いや――手出ししないでくれ。俺は大丈夫だ。冷静だ。何の問題がある?自分が現実の存在だとお前が知っているのなら、俺がお前の実在についてどう考えているかを何で気にするんだ?ああ、今の俺は頭がおかしくなってただけだと願おう。あのな、明日になっても俺がここにいたならば、もう一度聞いてもらえればまた別のことを思い出すかもしれない。それまでは俺を完全に独りにしておいてくれ」
「ああ、クソ野郎め」
**[報告終了]**
[[…->…4twotwo]]
[[最初に戻る->Begin]]
[[報告書の現在位置に戻る->EightTwo]]
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「俺は銃を投げ捨て、叫び、絶叫した。他に何を言ったかは思い出せない」
「狩人は俺を*見た*」
「次に何が起きたかは覚えていない。太陽の心臓を思い出せる。白い太陽じゃない。そこからは俺達の太陽、黄色い太陽の印象を受けた。覚えているのは……黄金の炎の燃え盛る回廊だ。外側を、内側を、あらゆる方向を見る目……巨大な目的感、だが失敗した目的、そして無限の恐るべき恐怖、それは巨大すぎて俺の心を壊さんばかりだった。呼び声を、助けを呼ぶ声を、誰かを呼ぶ声を思い出せる。誰かは分からないが……」
「そして何より、俺はそれが遅すぎたことを知っていた」
「だが、もちろん俺はどのような結果になったか分かっている。認めるならばだが、お前もそのはずだ」
「……もしくは、お前はまさか……駄目だ、駄目だ。全て分かった。俺がずっとそれを見ていなかったなんてことは信じない」
「分かるか……ずっと何かおかしいと思ってたんだ。ずっと、神に誓って、俺は頭の中に白い太陽を見ている。それが俺を背後から見てることを知っている。だが今はその理由を思い出した」
「もちろん、俺が言っているのはこういうことだ。俺達は失敗した。白い太陽は目覚めた」
「失せろ。嫌だ。もうそんなことについては考えたくない。ただ嘔吐して、叫んで、頭を撃ち抜きたい気分だ」
「分からないのか?ああ、多分それだけのことだ。俺はもうこれが夢だと知っている。これは多分ただの俺の夢で、全くもってお前の夢じゃない。お前の存在は全く現実じゃなく、お前がここにいたことは無いんだ。俺は頭の中で自分自身と話しているだけで、もうすぐ不可避となった世界の終わりの縁で目を覚ますんだ」
「そうじゃなければ、多分俺が生きてきたこの人生――俺達が本物の人生だと思っていたものの全てがただの夢で、白い太陽が目を覚ますまで現実になることは――」
「いや――手出ししないでくれ。俺は大丈夫だ。冷静だ。何の問題がある?自分が現実の存在だとお前が知っているのなら、俺がお前の実在についてどう考えているかを何で気にするんだ?ああ、今の俺は頭がおかしくなってただけだと願おう。あのな、明日になっても俺がここにいたならば、もう一度聞いてもらえればまた別のことを思い出すかもしれない。それまでは俺を完全に独りにしておいてくれ」
「ああ、クソ野郎め」
**[報告終了]**
[[…->…4onetwo]]
[[最初に戻る->Begin]]
[[報告書の現在位置に戻る->EightTwo]]
(link:"SCPデータベースエントリに戻る")[(gotoURL:"http://ja.scp-wiki.net/scp-2975")]
駄目だ。**駄目だ。**
狩人は君を救わないだろう。
君は安全ではない。
君が安全を得ることはもはや無い。
見るのを止めるんだ。
目を閉じ、目を覚ませ。
**太陽は存在する、第二の太陽が。**
駄目だ。**駄目だ。**
狩人は君を救わないだろう。君は、君はそれに値しない。どうやったんだ?
君は安全ではない。
君が安全を得ることはもはや無い。
まだ終わりではない。
目を閉じ、目を覚ませ。
**太陽は存在する、第二の太陽が。**
危なかった。だが遅すぎた。狩人は君を救えなかった。
君は愚かだった。だが結局はそれが最善だった。
お帰り。
危なかった。だが遅すぎた。狩人は君を救えなかった。
君は愚かだった。最後までとても愚かだった。だが結局はそれが最善だった。
お帰り。